子育て風景
子育て初心者としては、せんぱいパパ・ママの話を聞いたり、本や雑紙、ネットなどで情報収集をはかるわけです。
で。
その過程で見つけた本。
ノーサンガー・アベイ
- ノーサンガー・アベイ(isbn:4873762049)
キャサリン・モーランドという17歳の女性を主人公に、前半は温泉保養地バースを舞台に、後半は裕福な地主の家ノーサンガー・アベイを舞台に話が展開する。
10人きょうだいの長女のキャサリンが裕福な知人アレン夫妻の導きでバースの社交界に出て交友を楽しむ前半部分と、バースで知り合ったティルニー家に招待され豊かな田園風景が広がるノーサンガーでの田舎生活を楽しむ後半部分からなる。
キャサリンはじめ登場人物の心理描写、会話の展開のうまさはさすが。
女同士の友情が裏切られるシーンなど描くところなどは、他の作品にはないところか。
翻訳なので原文がそうだからかあるいは翻訳者が意図的にそうしたのかはわからないが、ややもったいぶった文体。
ジェーンオースティンの長編小説はマンスフィールド・パークを残すのみ。
ただし、これは市場で品切れになっているようなので、図書館で借りて読むことにした。
手元に届くまで、ジェーン・オースティンはひとやすみ。
いつか晴れた日に−分別と多感−
19世紀英国の田園を舞台に、対照的な性格の2人の姉妹の恋愛と結婚にいたるまでの過程をコミカルに描く。95年に邦題「いつか晴れた日に」で映画化された。
テーマは他のオースティン本と同じく「理想の結婚相手探し」。
大金持ちでもないが、生活に困っているわけでもない、母とともに田舎のカッテッジに住むダッシュウッド3姉妹のうち上のふたりがこの本の主人公。
上のエリナは理知的で、下のマリアンは情熱的と描かれているが、意地悪な見方をすれば、エリナは理屈っぽくほんとには何を望んでいるのかわかりずらい。マリアンは、衝動的な行動にかられやすい浅薄な性格ともよめる。それに、相手となる男性がいまひとつ魅力でないように思えた。人物像や事情の背景がいまひとつ不鮮明で、人物に不誠実さを感じてしまうところもあり。特に、最後のプロポーズ→婚約成立の過程がいかにも唐突に思える。
オースティンは、人物描写のうまさが魅力のひとつと思っていただけに、それがいまひとつ不明瞭なのが残念。
随所に年収、社会的地位が強調して描かれているところなど、階級社会への皮肉が生きている。
登場人物の人物描写はあえてあいまいなところを残し読者の想像の範囲を残した上で、結婚にまつわる駆け引きをドラマティックに描いてみせようとしたという風にも読めるかも。
ひさしぶりに読書感想
ジェーン・オースティンの「いつか晴れた日に」を読了。
家族が増えた
出産しました。
娘共々元気に退院し、現在家で育児奮闘中。
はじめての育児は、いままでの生活のパターンから新たなパターンを作るところからまず大変だけど、だんだん慣れきて、日々成長する娘に身近で接する楽しみを味わえるようにもなってきました。
ちょうどチクチクパック☆での着物製作を完成した頃に産気づき、そのまま出産。
そういう意味ではタイミングがよかったです。
ちゅうわけで、もう少し落ち着いたらサイトを更新します。
しばらくは手をつけられないかも。
エマ
「エマ」。ジェーン・オースティンの最高傑作といわれる作品。
- エマ*1
土地の名家にうまれ、美貌と知性にも恵まれ何不自由なく暮らすエマ。
過ちや失敗を乗り越えひとりの女性として成長していく姿を、エマの心理状態の変化を中心に精緻な描写で鮮やかに描く。
私にとって、ジェーン・オースティン本は「説き伏せられて」「自負と偏見」についで3作品目だった。
これまで読んだ3つの作品の中で人物設定が精緻に描かれているように感じた。
ヒロインのいささか鼻につく高慢さ、貴族趣味。
21歳の未婚女性であるにもかかわらず、物事をすべて見通したような言動をとる高慢さ。すでにその年にして日本語でいうところの「くっつけばばあ」的役割を演じたがっているところが滑稽。それは、20歳前後にありがちな、「根拠のない自信」が陥る失敗を皮肉まじりに描きたいがために、そういう設定がなされているのではないかと思うのだが。
ヒロイン以外のひとびとにもそれぞれ長所・短所があり、そういった人々が集まって織りなす人間模様が身近に感じられるし、それぞれの人物に魅力やまた嫌悪感を感じる。たいへんに人間くさい。
これは家庭小説か、女性のための「教本」か。結局は通俗小説か。
義理立てや社交、対面が重要視される時代・階層で、「主張する強い女性」の姿が描かれている点が興味深い。
*1:上巻 isbn:4003222245、下巻 isbn:4003222253