火星の笛吹き

暇にまかせて読んだレイ・ブラッドベリの初期スペースファンタジー短編集

  • 火星の笛吹き*1

〝時の囚人〟とよばれ振り子の中からひとり人類の滅亡を見守るはめに陥った男を描く「振り子」や、遠く離れた地球に残してきた恋人に想いをはせつつ、目の前の欲望に駆られて火星の地面に記された女の足跡を狂ったように追う男ふたりを描いた「火星の足跡」など、幻想と抒情に満ちた20編の短編を収録。

タイトルにもなっている「火星の笛吹き」。
木星人に支配された火星が舞台。
なんとか木星人から故郷を取り戻そうと奮闘するひとりの火星人。蔑みをうけ痛めつけられつつも、策を講じる彼の姿。最後が哀れ。その後の火星の運命やいかに。木星人が去り暗黒の種族に支配されるのか、それとも違う種族の火星人が興隆するのか。はたまた木星人が強行手段にでるか。
悲哀を感じつつも、奇妙な充実感のある終わり方だった。